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2001年10月12日(金)
◆《ゴンタ》

 「ごんた」という言葉が大阪弁にある。愛用している大阪ことば事典(講談社学術文庫 牧村史陽編)によると、

ゴンタ【権太】(名)
いたずらっ子。腕白者。無理難題。

 とある。浄瑠璃の「義経千本桜」の登場人物「いがみの権太」から出たとのこと。「ゴンタ言う(だだける)」という例文があげられている。「だだける」は「駄々ける」で、駄々をこねることだ。どんな子どもでも多少の駄々はこねるもので、そういう意味では大阪の子はたいてい「ゴンタ」と言われて育つのである。「ごんたくれ」「ごんたくそ」などのバリエイションもある。

 わが家の娘たちももちろんゴンタだ。ただ、いたずらっ子や腕白というよりは「わがまま」「強情」といった意味あいで言うことが多い。そのまま「わがまま」と言ってもいいのだが、大人がそれなりの決意でとおす「わがまま」などとはちょっと質がちがうので、やはり「ゴンタ」なのである。

 昼寝のときが近づいてきてトロンとしている下の娘を寝かそうとして「絵本よんだろか?」ときくと、「いや」。「お昼寝は?」「いや」。そうか……「じゃあ起きてなさい」「いや」。「どっちもいやなん?」「いや」。矛盾なんかどうでもよく、単にわがままが言いたいだけらしい。べつに寝なくてもいいのだがそうすると夕食どきに寝てしまい、夜寝なくなったりするのでややこしいのだ。だからなるべくなら昼寝をさせたい。そんなやりとりを繰り返したあとでなんとか寝る体勢にしても、どの絵本がいいか、わたしが読むか妻が読むかなどでさんざん駄々をこねて寝入ったたあと、夫婦して「やれやれ…… しかしゴンタな子ォやなぁ」となる感じだ。

 最近は上の娘よりもゴンタだという説が定着しつつある下の娘。特に自分一人で何かをするという欲求が強く「ばぶぅ、いとい」が口癖だ。この場合の「ばぶぅ」は一人称の代名詞で、「わたしが一人で(する)」という意味になる。紙おしめを自分で後ろ前に穿いたりするわけだ。スパゲティを箸(もちろんちゃんと使えるわけではない)で食べたりもする。べつにかまわないのだが、あとが悲惨な状態になるのでせめてフォークを使わせようとしても、そう簡単には箸を放さない。気に入ったものがはいっていないからと、冷蔵庫の前で泣くこともあるらしい。書くと大したことはないが、いちいちワーワー泣かれるところが大人のわがままとは一番ちがうのかもしれない。
 姉をもしのぐそんなゴンタぶりを表現するのに、実はそろそろ、子どものかわいさがあるゴンタという言葉では間に合わなくなってきたようだ。先日とうとうわたしの母に新しい言葉を生み出させてしまった。それは「チンピラ」。こちらは全国区の言葉だろう、イメージ的にはなんかピッタシ。


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